2024.01.31

時計と不整脈

素晴らしい時計に出会いました。1910年生まれのアンティーク懐中時計です。
手巻き時計でリューズを巻くとチクタク1秒ごとに規則正しく快い音を刻んでくれます。
メンテナンスもしっかりしていただきましたが、針はどこかで交換された経緯があるようです。
愛おしい時計を見つつ、ふと思った事があります。
我々の心臓。リズム良く動き、常に全身へ血液を送ってくれています。寝ている間も動いている時も身体に必要な酸素の量を考え、心拍を調節しています。お腹の中に誕生してからお亡くなりになるまで、常に休まず動き続けてくれます。
心臓の不調を感じて当院へ来院される方が大勢います。その際に心エコー検査で自分の動いた心臓をみると皆様感動されます。そうなんです!心臓は一番の苦労人なんです!!実は心臓の細胞は皮膚や髪の毛などと異なり、一生で再生することはありません。時計のように心筋組織を交換することもできません。心臓も年齢とともに衰え、どうしてもリズムが悪く十分に機能しなくなる場合もあります。その際は、縁の下の力持ちである心臓をすこし労って、是非、心臓の点検をを受けて下さい!
最近はスマートウォッチで心電図や血圧など測定し、不整脈を発見してくれる賢い時計もでています。そのうち、急変を察知し救急車を呼んでくれる機能が開発されるかもしれません。
先ほどの時計に戻りますが、1日に数分ずれる可能性があるそうです。もちろん心電図を確認したり健康を請け負ってくれることはありません。それでもこれから毎日、診療前に心臓を想いつつリューズを巻いて大切につきあっていこうと思います。皆様も是非、心臓のメンテナンスをよろしくお願いします。
追記;永原先生より 1910年代は心筋梗塞という論文が徐々に投稿され始めた時代だそうです。さらに運命を感じました。

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